ここ数か月の不確実な状況を背景に、顧客はこれまで以上に検索で多くの質問をするようになりました。しかし、注目すべきは、最近まとめられたYext Pagesのデータによると、検索での消費者の質問が、2018年の2倍以上の頻度でクリックに変換されていることです。
検索クエリの結果として企業のページへのトラフィックが増加していることは良い傾向と言えますが、なぜこのようなことが起こっているのでしょうか?質問がクリックに変わる頻度が、2年前よりも高くなっているのはなぜなのでしょうか?
その答えは、クリックにつながる質問の種類と、検索エンジンの進化に関係しています。
ロングテールかつ購入意欲の高いクエリの増加
「質問からクリック」という現象を理解するには、まず検索意図(インテント)を理解する必要があります。。自然言語を使って質問された長くて複雑な質問は、より具体的なユーザーの検索意図を示すものです。AIの導入により、今や検索エンジンにもこうした質問の内容が理解できるようになりました。
具体的な例を挙げてみましょう。「ベランダに置ける小型の炭火グリル」を検索している顧客は、単に「グリル」「グリルの種類」などといった検索を行うユーザーに比べて欲しい物が明確に分かっており、結果をクリックして購入に結びつく可能性が高いのです。このため、Conductor社のレポートによると、全検索の25%を占める、長くて購買意欲の高いクエリは、単一ワード検索の2.5倍の割合でコンバージョンされることが調査で明らかになっています。また、Yextの調査では、クエリの長さと検索意図(インテント)の関係も確認されています。2019年のYext Pagesの顧客のGoogle検索クエリの分析では、クエリ内の単語数とYext Pagesのクリックスルー率の間に強い関係があることがわかりました。
しかし、検索エンジンがこのような長い自然言語の質問に実際に答えることができるようになったのは、比較的最近のことです。ユーザーは長い間、Googleや他の検索エンジンに質問を投げかけてきましたが、希望する答えを得ているとは言えない状態が長らく続いていました。しかし、自然言語処理(NLP)の進歩がこの状況を変えました。コンピュータは今ではAIを使って、音声またはテキストのいずれかで送られてくる人間の言語を処理するようになりました。本質的には、NLPは、私たちがお互いに行うのとほぼ同じ方法で機械と対話することを可能にしています(当然、限界はありますが、かなり高度なレベルのやり取りが可能です)。
こうした最近の変化の鍵となったのが、GoogleのBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)と言われる、自然言語処理の事前訓練のためのニューラルネットワークベースの技術です。具体的には、BERTがキーワードよりも自然言語を優先するため、Googleは検索クエリ内の単語の文脈をよりよく解読できるようになったのです。Googleの検索担当バイスプレジデントのPandu Nayak氏は、検索の背後にある意図を理解するBERTの能力を「2019 ブラジル旅行者 米国へのビザ必要(2019 brazil traveler to usa need a visa)」というクエリ例で説明しています。「『to』という単語と、クエリ内の他の単語との関係は、意味を理解する上で特に重要です。これはブラジル人が米国に旅行する場合の話であり、その逆ではありません。以前は、当社のアルゴリズムはこの関連性の重要性を理解しておらず、ブラジルに旅行する米国市民に関する結果を返していました。BERT を使用することで、検索はこのニュアンスを把握し、非常に一般的な単語である「to」が実際にここでは非常に重要であることを知ることができ、このクエリに対してより関連性の高い結果を提供することができます。」
しかし、詳細な検索がクリック数の増加につながっているのには、もう一つ理由があります。。長い質問にはロングテールキーワードが含まれるようになってきており、ロングテールキーワードは順位を争うことが少なくなってきています。。この記事にあるように、「Googleの結果ページで上位表示を競うウェブサイトが少ないため、より一般的なキーワードよりもロングテールキーワードの方がはるかに簡単にランク付けできる」のです。検索ワードが長く、より具体的なほど、そのワードでの上位表示が容易になります。インターネットは広大であるため、特定のニッチのオーディエンスを見つけることが容易になります。ロングテールキーワードのグループに焦点を当てることで、全体的に多くのトラフィックを得ることができます。」
例を挙げてみましょう。フォーブスによると、「『セーター』や『レディースアパレル』といった分野で検索上位を目指すよりも、『ナポリストライプの柔らかいカーディガン』といったロングテールキーワードで上位に入る唯一のeコマースサイトとして表示される方が有利になる」ということです。
ロングテール検索の増加とコンピューターによる人間の言葉の理解が向上していることは、より良い、より豊かな検索結果につながり、結果としてクリック数が増え、売上が増加することにつながります。Google が賢くなり、音声検索がより一般的になるにつれ、検索クエリはより会話的になり、ロングテールキーワードが増加傾向にあることを意味しています」と フォーブス は指摘しています。ロングテールの複数のキーワードを入力した顧客は、一般的に購買意欲の高い顧客であり、購入の準備ができている。つまり、ロングテールキーワードの検索トラフィックは少ないかもしれませんが、一般的に高いコンバージョンをもたらします。
では、企業がこうした検索の意図(インテント)を捉え、クリック数を増やすには何をすべきでしょうか。答え=schema.orgで構造化マークアップすることです。
Schema.orgのマークアップはマイクロデータの一種であり、データをHTML文書の中に埋め込み、コンピュータで読めるようにするための仕様です。基本的には、リッチ(すなわち、より詳細な)スニペットとして知られている形で関連性のある結果を生成するためにウェブページ上の情報を分析するのを助けることによって、ユーザーのためのより良いブラウジング体験を可能にするものです。
リッチで関連性の高い結果は、トラフィックを増加するための核となるものです。今日の検索は、キーワードやフレーズを入力したり、Alexa、Google、Siri、その他の音声アシスタントに質問したりすることで始まることが多くなっています。先に述べたように、これらの質問は複雑で煩雑なものになりがちで、消費者が貴社の製品やブランドについて知りたいことを読み解き、一貫性のある適切にマークアップされたページを介してリッチで具体的な回答を提供することは、AIを組み込んだウェブサイトに委ねられています。そうすることで、この記事の冒頭で述べた「ページへのクリック数増加」という大きな成果を得ることができます。
「貴社のウェブサイトの訪問者は、問題を解決しようとしているか、持っている問題についてより多くの情報を得ようとしていることを忘れないでください 。 そうでなければ、彼らは検索エンジンを使用していないでしょう。"キーワードリサーチは、今や科学というよりも芸術の域に達しています。ユーザーの意図を理解し、キーワードが確実に一致するようにするという定性的なプロセスが、2020年にキーワードリサーチを成功させる秘訣です。」とフォーブスは述べています。